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RoboticMusic at AV Festival (2006.3.4-5)

RoboticMusic
(ロボティックミュージック)
後藤英 

 

AVフェスティバル(2006年3月4-5日)

 

 

新聞記事:

The Guardian(ガーデアン紙)

The Times(タイムズ紙)

 

インタビュー:

BBC

 

 

1. イントロダクション

RoboticMusic(ロボティックミュージック)は2006年3月4日、5日にイギリスのニューキャッスルのザ・サージ・ゲーツヘッドにて発表された。AVフェスティバルはデジタル・アート/音楽、そしてニューメディアにおける最も斬新で大規模な国際フェスティバルである。

 

 

展示の2日間、約3000人あまりの人がこのロボティックミュージックに訪れ、多くの聴衆とマスメディアにより熱烈に受け入れられた。ロボティックミュージは常時インタラクティブ・インスタレーションとして展示され、同時に1日4回コンサートが行われた。
このロボティックミュージックはAVフェスティバルより委嘱されイギリスにて初めて展示とコンサートが行われた。

 

 

 

 

 

2. AVフェスティバのカタログよりの紹介文の抜粋

 

 

ロボティックミュージック/後藤英

場所:ノーザーン・ロック・ファウンデーション・ホール、ザ・サージ・ゲーツヘッド
日時:3月4日、5日(土、日)、11時より定期的にコンサートが行われる

ロボットが実際に音楽を演奏しているのを目にすることができる機会です。もし信じられなければもう一度よく読み直して下さいーロボットが音楽を演奏するのです。作曲家でありニューメディア・アーティストである後藤英はロボットのオーケストラを組成しています。これは実際に目にしなければ信じることができないことでしょう。彼の作品はこれまで東京のICCやパリのポンビドゥーセンターなどで発表されましたが、イギリスの北東部での初めての発表となります。

このロボティックミュージックではゴング、ベースドラム、トムトム、スネア、パイプなどを演奏する打楽器アンサンブルから成り立っています。「ロボットにより未だ聞いたこともない音楽を耳にすることができます。ロボットは複雑なリズムも容易にこなし、それぞれのロボットが異なるテンポを同時に演奏することなど、人間の限界を超えることもできます。生物である以上避けることができない条件ですら、例えばロボットは休息なしで永遠に演奏し続け、しかも人間の30倍の速さで演奏することもできます」と彼は語ります。

特質すべき点として、ロボット外観をしていながらも動きは生き物のようで、人間の演奏家のような身振りをすることに最も好奇心がそそられます。ロボティックミュージは様々な興味深い点を提示します。例えば、テクノロジーの世界にて、厳しく長い間トレーニングされた音楽家の複雑な演奏行為を再生することはできるでしょうか?さらに、演奏家の可能性を超えることができるでしょうか?後藤英はザ・サージ・ゲーツヘッドにての発表にてその答えを見せてくれることでしょう。

このプロジェクトはヒューマノイド・ロボット開発会社、イクシス・リサーチの山崎文敬氏のサポートにより実現されました。

 

 

 

3. インタラクティブ・インスタレーション

 

 

ロボットはステージの上に置かれ、一方でコンピュータはホールの中央に置かれる。観客はこのコンピュータにアクセスすることができ、マウスとスクリーンによってロボットを制御することができる。 基本的にこの方法でロボットを操作するために2つのモードがある。

1つはマウスでのクリックによりロボットを演奏する方法である。

 

 

もう一つの方法ははゲームをしながらロボットを演奏する方法である。その中で「ステップ・シークエンサー」と呼ばれるプログラムと「バウンシング・ボール」と呼ばれるプログラムを選択することができる。「ステップ・シークエンサー」においては、図形を描くように図表にデータを書き込むことができる。この「ステップ・シークエンサー」のメトロノームは、時間軸上の一こまを順に一個ずつ進む速度を変化させ、一コマでの(縦軸に一致する)ロボットを演奏する。また、リアル・タイムでテンポおよび音量を同様に自由にコントロールすることもできる。これは、観客が直感的に自分の音楽を自ら作曲することができ、ロボットによってその作曲をすぐに演奏することができるという考えに基づている。

 

「バウンシング・ボール」ではマウスでいずれかのボールを選択しスクリーン上で投げ放つことにより開始される。重力によってお互いのボールは反応し合いながら壁(スクリーンの渕)を弾む。この弾む際に。それぞれ色が異なるボールは該当するロボットをトリガーすることによってサウンドを発する。これはロボットによるインタラクティブ・インスタレーションの可能性を提示できるとても良い例で、ゲームをしながらのように楽器も同時に演奏することができるものである。

 

 

 

4. コンサート

 

 

ロボットの人工知能によりいかなる状況にも柔軟に適用でき、使用用途は無限に拡げることができる。特にコンサートにおいてはロボットの可能性を十分に発揮することになる。このロボットはインスタレーションと同じステージ上の位置に置かれ、一日に4回のコンサートがAVフェスティバルにて定期的に行われた。

このロボットは人間よりも速く正確に演奏する出来、また複雑なリズムをしかも休みなく永遠に演奏し続けることもできる。音楽はこのロボットならではの特性を十分に考慮して作られた。それにより音楽はかつて聞いた事もないものとなる。例えば人間の演奏家の伝統的な音楽的表現をロボットで模倣するよりも、マシーンならではの機械的な音楽的表情はとても興味深い点である。この5台のロボットそれぞれに異なるテンポをあてがえ、同期するように同時に演奏することもできる。ロボットはこのような複雑な作曲をアンサンブルとして、しかも間違うことなくしっかりと同時に他のロボットと合奏することができる。

他の可能性としては、コンピューターでのアルゴリズムによって演奏中にリアルタイムで自ら作曲やインプロヴィゼーションすることも可能である。この演奏では時にはコンピューターによって合成されたサウンドも演奏された。後藤英がラップトップで演奏しているのに合わせて、ロボットはそれを聞きながら同時に合わせて演奏することもできる。

この演奏ではロボットによって制御された照明も使われた。「ロボティックミュージック」では音楽、ステージ上でのロボットのパフォーマンス、ロボットによって変化させられ動く照明など、それらが一体となって一つの作品としてパフォーマンスされる。

 

 

 

 

5. 打楽器ロボット-「ロボティックミュージック」の詳細

「ロボティックミュージック」は5台のロボットから構成されており、ゴング、ベースドラム、スネアドラム、トムトムあるいはシンバルなどのような打楽器を演奏する。マレットで演奏できる限りこれらの楽器は置き換えることが可能である。

 

 

1つのロボットは複数のパイプを演奏する。これは素早く回転することによってフルートのようなサウンドを発するものである。目的とするサウンドの高さによってパイプの長さは異なる。それがより速く回転するほど、ピッチは倍音の構成に従って高くなる。

 

 

「ロボティックミュージック」では最新のヒューマノイドロボットの技術が用いられているものの、通常のヒューマノイドのように2本の足で歩いたり、目や口などを持つタイプではない。「ロボティックミュージック」はロボットのアームより成り立っている。音楽的なサウンドと表現を得るために人間の打楽器奏者の身振りがモデル化された。しかし、人間とは異なりロボットは全く休みなしで人間の打楽器奏者よりさらに正確に速く働くことができる。

 

 

音楽のデータを生成するためにMax/MSP、Cycling’74がインタフェースとして用いられた。ロボットのアームの位置、オフセット位置、強度(打つ強さ)などのように基本となるパラメータもこれによりロボットに送ることができる。Max/MSPから信号をUDPを通して別のコンピュータのLinuxに送る。ちなみにこのLinuxのソフトウェアは(株)イクシス・リサーチによって開発された。このソフトウェアではロボットの動きを制御するもので、ロボットの動きを操作する点において重要な位置をしめている。LinuxのコンピュータからロボットへはUSBを通して繋がれている。各ロボットはそれぞれインタフェースを持っており、アクチュエーターとセンサに接続されている。

 

 

 

ロボットには人間の筋肉を模倣するため特別なスプリングが取り付けられている。さらに打楽器のマレットがアームの先に持たれる。

 

 

 

「ロボティックミュージック」の特徴はアコースティック楽器をコンピューターによりインタラクティブに演奏できることである。複雑なリズムを演奏することは全く問題なく人間の演奏の限界を容易に超えることができる。それ故、アコースティック楽器のための作曲においても多いに新たな可能性をもたらしてくれる。

もう1つ挙げられる特徴点としてはアコースティックのサウンドである。コンピューターで合成されるサウンドには様々な可能性がもたらされるが、アコースティック楽器には豊かな音響と表現の莫大な利点があげられる。特に作曲家の観点からしてみればそれは顕著である。それがステージの上で演奏される際には、スピーカーから出るサウンドと比べると、アコースティック・サウンドの局面の広大な可能性は明白である。別の利点としては聴衆がサウンドとその楽器を演奏する行為の両方を聞く/見ることができることである。

1つのを楽器を習得するだけでも音楽家にとっては、膨大な時間と労力を要することであるが、他の演奏家と共にアンサンブルで演奏する技術を習得することはさらに熟練が要されることである。5台のロボットを用いることにより、アンサンブルの新しい可能性を広げることができるであろう。つまり、「ロボティックミュージック」では例えば同時に5つの異なるテンポ、複雑なアッチェレランドやラレンタンドなど、アンサンブルの困難さをものともせず正確に演奏することができるため、音楽でのアンサンブルの可能性もさらに発展させることができる。

「ロボティックミュージック」はアートのために用いられることだけなく、研究としての面でも十分に興味深い点ををもたらしてくれる。ロボットと携わる程、人間自身の面についてさらに解明することができる。例えばロボットによって人間の音楽家の身振りを模倣しようと試みる際に、一見単純な行為に見える打楽器を叩く行為のようなものでもいかに複雑な動きによって構成されているかを発見することができる。その事を音楽家に問い合わせる際には、音楽家はいかにして楽器を演奏するかは答えることはできるとしても、その音楽家自身の筋肉や骨のそれぞれの部分をいかにしてコントロールしているかに関してはほとんど答える事ができない。さらに瞬時に動きの速度や力具合をどのようにコントロールしたり微妙に上げ下げしているかに関してはなおさらである。

通常「ロボット」という言葉を耳にする際、恐らく工業用ロボット、時にはSF映画のロボットについて連想することが多いかもしれない。しかしこのロボットはこれらとは異なり、最新の人工知能の開発の結果に由来しながら、ハードウェアへの応用とみなされるものである。人工知能に関してはロボットと大いに関係があり、特に人間的な身振りが伴う際にはなおさらである。これはヒューマノイドのタイプのロボットに特に該当することで、センサーや高度なプログラミングが伴うことによって、ロボットは自ら判断をして行動を起こすものである。これは奴隷タイプのロボットの発想とはことなり、その技術を音楽へと応用することができるようになったことを意味する。ここではむしろロボットと人間が一緒に共存する考えに基づいていると言ってもいいだろう。

 

 

 

 

6. クレジット

期日:2006年3月4-5日
場所:ザ・サージゲーツヘッド、ニューキャッスル、イギリス
AVフェスティバル06
www.avfest.co.uk

作曲、コンセプト:後藤英

ロボット技術:山崎文敬、(株)イクシスリサーチ
www.ixs.co.jp

フェスティバル・ディレクター:オノア・ハーガー

照明技術:ニール・コールベック(ザ・サージ・ゲーツヘッド)
アシスタント:リサ・マックナブ、マーク・ペムブレイ
プレス・リレーション:クレア・ビルフォード

スペシャル・サンクス:ロス・リグビー(ザ・サージ・ゲーツヘッド)、パトリック・ギーガー(ユートピアレス・フェスティバル)、アラン・テリエ(IRCAM)、タムジン・オースティン(ザ・サージ・ゲーツヘッド)

「ロボティックミュージック」はAVフェスティバル06のより委嘱された。
(C) 後藤英、2006

 

The Sage Gateshead, St Mary's Square, Gateshead Quays, Gateshead, NE8 2JR
www.thesagegateshead.org

 

AV festival 06
www.avfest.co.uk

 

 

 


Information

新聞記事: The Guardian(ガーデアン紙)

新聞記事: The Times (タイムズ紙)

インタビュー:BBC (MP3)

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