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SuperPolm

SuperPolm(スーパーポルム) - バーチャル・バイオリン

人間の身体は物理的なデバイス(装置)によって拡張させることができる。また、デバイス自体も身体によって拡張させることが可能である。しかし、いずれもプログラミングによって物理的な枠組みからバーチャルなものへとさらに変遷させることができ、さらに無限な可能性をもたらすことができる。そこでは演奏と音楽という従来の定型はすでに取り払われ、新たなパフォーマンスと音楽の可能性をもたらすことになる。

 


1. コンセプト


SuperPolmのアイデアはバイオリストの演奏身振りをモデルにすることから始められた。SuperPolmには実質的な弦もなければ弓の毛すら存在しなく、全てセンサーより構成されている。バイオリストの演奏行為を行いながら音を発することができるが、SuperPolm自体からは音を発することはなく、コンピューターと繋げることによって初めて音を発することができる。つまりコンピューター内のプログラミングとともに音を自由に作り出すことができる。また、仮にある特定の演奏行為でSuperPolmを操作する方法に限定したとして、プログラミングによってそれ自体の可能性を拡張したり、全く異なる楽器へと変化させることも可能である。したがって物理的な制限に限られることがなく、また、従来のコンピューターを遠隔操作するのみというインターフェースの領域にも収まりきれない、プログラミングとアイデア次第で大いに変化させることができるバーチャル・バイオリンである。

 

 

2. サウンドや演奏身振りを無限な可能性へと導いてくれるバーチャル・バイオリン


バーチャル・バイオリン、SuperPolmは1997年にIRCAMにて開発され、同年、IRCAMのエスパス・デュ・プロジェクションにて発表された。IRCAMの技術者、パトリス・ペローとアラン・テリエの協力により作られた。従来のバイオリンでは発する音は限られた範囲でのみにしか変化させることしかできず、所詮バイオリンの音色自体は変化させることはできない。また、演奏行為も必然的に限られてくる。SuperPolmでは音色の選択はプログラミング次第で無限となり、バイオリンの演奏行為をしながら、例えばピアノや打楽器の音色を用いることもでき、また、コンピューター内のシンセサイザーの音で演奏することも可能である。また、フィンガー・ボードとあごを支える部分に取り付けられた圧力センサーをそれぞれ叩きながら演奏することによって、バイオリニストの演奏行為とは異なり、例えば打楽器のように演奏することもできる。このように楽器自体が生の音を発することがないことによって、楽器はバーチャルなものと無限に変遷させることができ、また、楽器自体の可能性も自由に発展させることができる。コンピューター内に取り込まれたディジタル・シグナルは必ずしも音を発するためのみに用いる必要はなく、映像を操作したりインターネットにデータを直接送り込むなどのことも可能である。

 

 

3. SuperPolmのテクニカルな解説


SuperPolmのフィンガー・ボード(指盤)には4つのセンサーが取り付けられている。従来のバイオリンの4つの弦が置き換えられた形態とも考えることができる。そのセンサーは指が触れた位置と押さらえた力(圧力)を認識することができる。弓はSuperPolm本体上にある鉄製のブリッジと触れる地点によって数値を変化させる。それはプログラミングによって、ある一定時間内にどれだけ大きく変化されたかによって音量を変化させるようになっている。バイオリニストの特徴的な動きの一つにフレーズを強調などする際に、やや前屈みする傾向がある。つまり、バイオリンの本体が同時に下方に傾くことになる。SuperPolmの中には本体の角度(傾き具合)を測るセンサーが仕組まれており、これによってパラメーターを変化させたり、プログラミングによっては音を作り出すこともできる。このような点からも、ある身振りがプログラミングのアイデア次第によって応用方法を大きく変化させることを可能にしてくれる、まさしく、バーチャル・バイオリンであると言えよう。あごで本体を支える部分には圧力センサーが取り付けられており、パラメーターを変化させたり、プログラミングによっては音を奏することもできる。本体の手前部分には複数のボタンが並んでおり、コンピューターのキーボードのようにコントロールしたり、プログラムの設定や音色のプリセットを切り替える際に用いることができる。弓を支える部分とフィンガー・ボードの根元部分にはさらにボタンが取り付けられており、これによってあるプログラムの設定をオン/オフさせたり、マウスのクリックのようにも用いることができる。SuperPolmからの電気信号はインターフェースによってディジタル・シグナルに変換されコンピューターに送られる。現時点ではIRCAMのAtoMIC PROによりMIDIに変換している。そのシグナルはCyclingユ74のMax/MSPによってさらに変化され、サウンドを合成したり、アルゴリズムによって音楽データをさらに生成しながらリアルタイムに演奏することができる。

 

 

4. 応用例と作品について


SuperPolmは従来のクラシック・バイオリンの奏者のみが演奏できる楽器ではなく、むしろ、各自のプログラミングのアイデアによって、独自の演奏方法をあみ出すことができる。楽器はバーチャルな発想に基づいているため、音楽の演奏のためにだけではなく、プログラミングの方法次第では、演奏行為を強調した視覚的なパフォーマンスや、Max/MSPとビデオ/3DライブラリーのJitterを併用することによって、リアル・タイムの映像を操作するものと応用することができる。
作品のVirtualAERI IIは1997年にIRCAMにて作曲され、同年、IRCAMのエスパス・デュ・プロジェクションにて初演された。現在ではサウンドのみではなくビデオをリアル・タイムで操作する形態に落ち着いている。現在ではビデオ・アーティストとのコラボレーションが進行中である。その作品では、実際のクラシックのバイオリンと、このバーチャル・バイオリンで、現実と架空(リアルとバーチャル)が行き来したり、または、同時進行、時には対立し合うアイデアによって作品制作が進められている。


追加情報

PDFファイ-SuperPolm

IRCAMでの論文 (Virtual Musical Instruments)

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