このプロジェクトにて目指していることは、様々な素材が強度とベクトルをお互いに浸透し、結合し合いながら操作されると同時に、色彩豊かでありながら不明瞭でもある流れるようなフォームを形成させることである。"Augmented Body and Virtual Body" (拡張された身体と仮想身体)のテーマは二元論において相反しながら同時に類似している考えを提示する。またいずれかが優越したり劣ったりすることを問題に掲げることでもない。これらが演奏する際に、同質性と差異性を同時に提示しながら共存するのである。
"Augmented Body and Virtual Body" (拡張された身体と仮想身体)では、素材は常時お互いの出現率の比率を変化させながら交差、混合し合い、ある特定の到達点に向かって一方方向のみに進むのではなく多次元に向かって流動的に流れる音楽作品である。基本となるアイデアは、何が現実で、何が人工で、何が仮想であり、また何がそれらではないのか、また、それぞれを肯定、否定という観点におくのではなく表現における零/中性状態にて相互作用を導く点である。
このように"Augmented Body and Virtual Body" (拡張された身体と仮想身体)における全ての素材は、何が現実、人工、仮想であるかの関係性を同質性と不明瞭性のコンセプトによって発展させられている。パフォーマーが楽器としてボディスーツを演奏することは物理的に現実性であり、またパフォーマーがロボットをコントロールすることも現実性である。しかし、このロボットは人間の身体のモデルによって作られており、この点に関しては概念的に仮想性である。さらに、身体のイメージがスクリーンに表れる際は、それは現実性での幻想であり、また、物質的な現実性は介在しない。一方で、そのシーンではそれと相対的にロボットとボディスーツは存在性において全く現実となる。
テキストは"Augmented Body and Virtual Body" (拡張された身体と仮想身体)のテーマを補充するために用いられた。それは同時にスクーリン上での視覚的な素材のように用いられたり、本物の声と合成された声によって読まれる。それぞれのテクストはパズルを解くかように論理的なルールに従って変化される。さらに、オリジナルのテキストを用いながらも本来と異なったもう一つの意味を作り出すために、テキストはある状態から別の状態へとモーフィングのように徐々に変化される。テクストは「千のプラトー」ドゥルーズ/ガタリと、「神の審判と訣別する為に」アルトーから引用された。特に両著に共通するCorps sans Organs (CsO = 器官なき身体)の考えが強調され用いられている.