サイマティックス
−インタラクティブに・サウンド・インスタレーション
後藤英
イントロダクション
このインスタレーションで使われる主な素材はスピーカーと液体である。スピーカーでのサウンドの振動を液体に伝わらせ、波動として表現させる。使われる主な物質は、水とノン・ニュートニアン・フルイドが用いられる。コンピューターによりサウンドを操作し、このインスタレーション用に作られた液体の容器とそれを振動させるスピーカーによって、液体を模様化させる。これはインスタレーションを訪れた観客が、iPadによってインタラクティブに反応させるものである。つまりインタラクティブ・サウンド・インスタレーションと言えよう。発せられたサウンドは聞かれるだけでなく、超周波数なども含むことによって人間の身体に振動として伝えられる。それが液体での自然物理現象として物理的に美しく表される。従って、視覚性、聴覚性、さらにそれを超える超感覚を実際に経験できる新たなインスタレーションのタイプのものである。
液体と振動について
このインスタレーションでは、水、ノン・ニュートニアン・フルイドが用いられる。それらがスピーカーと接しており、スピーカーから出されるサウンドによって振動が起こり、液体によって異なる波動を作り出す。2つの素材と振動方法は以下の通りである。
水
スピーカーからのサウンドが中音域くらいの周波数である場合は幾つもの丸い輪が水に周期的に作られる。周波数が高くなると輪の線の間隔が狭くなる。音量が大きくなると波の高さも大きくなる。低い周波数では歪な波動となる。サウンドがノイズの場合、水面一面が荒れ狂う現象が起こる。周波数が容器の共鳴周波数一致するとレゾナンス現象を起こし、波動と容器の振動周波数が共鳴して大きなエネルギーとなり水しぶきが起き始める。さらに音量を大きくすると観客まで水しぶきが飛ぶことになる。
ノン・ニュートニアン・フルイド
例えばコーンスターチと水が混ぜ合わされる。中くらいの周波数で弱い音であれば水の場合のように輪が出来る。高い周波数で大きな音にすると予測できない形が作られ、さらに大きくすると多くのモンスターが立ちだすような形が作られる。
コンセプト
サウンドはスピーカーによって空気振動として人間の耳に伝えられる。そのスピーカーでは電気信号が磁石によって物理的な振動へと変化され、振動部によって空気の振動に変化させる。その振動部に液体や粉を接触させることによって、空気では目に見えない振動を実際に見る事ができる。振動は周期的な動きのため、その液体でも周期的な模様となって表れる。サウンドが単純なものであれば明確な模様となり、サウンドが複雑なものであれば、模様も複雑なものとなる。サウンドによって振動が変わり、それによって異なる波、模様が自然と作られる。観客はサウンドを聞くだけでなく、その振動を体で体感することができる。それと同時にその体感が液体の物質にて波としても見ることができる。自然現象が液体などの実際の自然の物質によって人工的に作られる面白さを観客は自らの操作によってそ間近で味わうことができる。
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