VirtualAERI II (ヴァーチャル・アエリ 2)
ヴァーチャル・ヴァイオリンとインタラクティブ・ヴィデオのために
(1998)
1. イントロダクション
2. 第一セクション
3. 第ニセクション
4. コーダ
演奏時間:30分
作曲、演奏、Jitter:後藤 英
SuperPolm (ヴァーチャル・ヴァイオリン)は1996年にIRCAMにて開発された。これは、1995-6にIRCAMで作曲された、モVirtualAERIモのために作られた。オリジナルのヴァージョンは、IRCAMのエスパス・ドゥ・プロジェクションで初演され、第2ヴァージョンは1998年に作曲された。
この作品は4つのセクションから成る。それぞれのセクション内でのフォームは意図的に単純化され、ブロックが重ね合わさったり、連なったりするかのように構成されている。これと同様の方法で、サウンドもメカニカルで密度の濃いテクスチュアがブロックを並べるかのように配置されている。また、SuperPolmの演奏との関係性を明確で有機的にするためにも考えられている。

ビデオ部分は、意味や表現などを表現するものではなく、むしろ映像としての空間性が意図されている。それはサウンド、パフォーマンスでのジェスチャーと平行するかのように共存する目的である。これによって、視覚的なパーセプションと聴覚の経験の間に対話型の知覚の別の領域をもたらすことができることになる。

SuperPolmは従来のクラシック・バイオリンの奏者のみが演奏できる楽器ではなく、むしろ各自のプログラミングのアイデアによって、独自の演奏方法をあみ出すことができる。楽器はバーチャルな発想に基づいているため、音楽の演奏のためにだけではなく、プログラミングの方法次第では、演奏行為を強調した視覚的なパフォーマンスや、Max/MSPとビデオ/3DライブラリーのJitterを併用することによって、リアル・タイムの映像を操作するものと応用することができる。 このSuperPolmは、演奏行為のように、小さな身振りのためのインターフェースとして設計された。これを用いることによって、この作品の作曲としての新たな可能性が開かれたのはさらに注目すべきことである。SuperPolm自体は、コンピューターにサウンドを生産するための信号を単に送るものと言ってもようだろう。身体動作に由来したエネルギーを電気的信号に変換する点においては、演奏者とコンピューターの間のインターフェースと見なされることもできる。しかしながら、同時にこれまで存在しえなかった演奏者の行為による複雑で新たな音楽の表現を可能にする。従来の楽器では、制限のある範囲内でサウンドでしか発することができないが、ヴァーチャルの楽器では、いかなる小さな身振りによってでも、リアル・タイムで複雑な音楽の素材を自由に生み出すことができる。 |