イタリア、第53回ヴェネツィアビエンナーレ「ロボティック・ミュージック」
日時: 2009年9月25より10月3日まで
場所: イタリア、ヴェニス、Foyer of the Teatro alle Tese
協力: ポンピドゥー・センター/IRCAM ( http://www.ircam.fr/ )
技術サポート: (株)イクシスリサーチ ( http://www.ixs.co.jp/ )
RoboticMusic / 後藤英
For 5 percussionist robots
メカニカル・エンジニア: Alain Terrier (IRCAM)
詳細は:
http://www.labiennale.org/en/music/program/sugurugoto.html?back=true
http://www.labiennale.org/en/music/news/53.html
ヴェネツィアビエンナーレについては:
http://www.labiennale.org/en/Home.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/ヴェネツィア・ビエンナーレ
打楽器ロボット-「ロボティックミュージック」の詳細
「ロボティックミュージック」は5台のロボットから構成されており、ゴング、ベースドラム、スネアドラム、トムトムあるいはシンバルなどのような打楽器を演奏する。マレットで演奏できる限りこれらの楽器は置き換えることが可能である。
1つのロボットは複数のパイプを演奏する。これは素早く回転することによってフルートのようなサウンドを発するものである。目的とするサウンドの高さによってパイプの長さは異なる。それがより速く回転するほど、ピッチは倍音の構成に従って高くなる。
「ロボティックミュージック」では最新のヒューマノイドロボットの技術が用いられているものの、通常のヒューマノイドのように2本の足で歩いたり、目や口などを持つタイプではない。「ロボティックミュージック」はロボットのアームより成り立っている。音楽的なサウンドと表現を得るために人間の打楽器奏者の身振りがモデル化された。しかし、人間とは異なりロボットは全く休みなしで人間の打楽器奏者よりさらに正確に速く働くことができる。
音楽のデータを生成するためにMax/MSP、Cycling’74がインタフェースとして用いられた。ロボットのアームの位置、オフセット位置、強度(打つ強さ)などのように基本となるパラメータもこれによりロボットに送ることができる。Max/MSPから信号をUDPを通して別のコンピュータのLinuxに送る。ちなみにこのLinuxのソフトウェアは(株)イクシス・リサーチによって開発された。このソフトウェアではロボットの動きを制御するもので、ロボットの動きを操作する点において重要な位置をしめている。LinuxのコンピュータからロボットへはUSBを通して繋がれている。各ロボットはそれぞれインタフェースを持っており、アクチュエーターとセンサに接続されている。 ロボットには人間の筋肉を模倣するため特別なスプリングが取り付けられている。さらに打楽器のマレットがアームの先に持たれる。
「ロボティックミュージック」の特徴はアコースティック楽器をコンピューターによりインタラクティブに演奏できることである。複雑なリズムを演奏することは全く問題なく人間の演奏の限界を容易に超えることができる。それ故、アコースティック楽器のための作曲においても多いに新たな可能性をもたらしてくれる。
もう1つ挙げられる特徴点としてはアコースティックのサウンドである。コンピューターで合成されるサウンドには様々な可能性がもたらされるが、アコースティック楽器には豊かな音響と表現の莫大な利点があげられる。特に作曲家の観点からしてみればそれは顕著である。それがステージの上で演奏される際には、スピーカーから出るサウンドと比べると、アコースティック・サウンドの局面の広大な可能性は明白である。別の利点としては聴衆がサウンドとその楽器を演奏する行為の両方を聞く/見ることができることである。
1つのを楽器を習得するだけでも音楽家にとっては、膨大な時間と労力を要することであるが、他の演奏家と共にアンサンブルで演奏する技術を習得することはさらに熟練が要されることである。5台のロボットを用いることにより、アンサンブルの新しい可能性を広げることができるであろう。つまり、「ロボティックミュージック」では例えば同時に5つの異なるテンポ、複雑なアッチェレランドやラレンタンドなど、アンサンブルの困難さをものともせず正確に演奏することができるため、音楽でのアンサンブルの可能性もさらに発展させることができる。
「ロボティックミュージック」はアートのために用いられることだけなく、研究としての面でも十分に興味深い点ををもたらしてくれる。ロボットと携わる程、人間自身の面についてさらに解明することができる。例えばロボットによって人間の音楽家の身振りを模倣しようと試みる際に、一見単純な行為に見える打楽器を叩く行為のようなものでもいかに複雑な動きによって構成されているかを発見することができる。その事を音楽家に問い合わせる際には、音楽家はいかにして楽器を演奏するかは答えることはできるとしても、その音楽家自身の筋肉や骨のそれぞれの部分をいかにしてコントロールしているかに関してはほとんど答える事ができない。さらに瞬時に動きの速度や力具合をどのようにコントロールしたり微妙に上げ下げしているかに関してはなおさらである。
通常「ロボット」という言葉を耳にする際、恐らく工業用ロボット、時にはSF映画のロボットについて連想することが多いかもしれない。しかしこのロボットはこれらとは異なり、最新の人工知能の開発の結果に由来しながら、ハードウェアへの応用とみなされるものである。人工知能に関してはロボットと大いに関係があり、特に人間的な身振りが伴う際にはなおさらである。これはヒューマノイドのタイプのロボットに特に該当することで、センサーや高度なプログラミングが伴うことによって、ロボットは自ら判断をして行動を起こすものである。これは奴隷タイプのロボットの発想とはことなり、その技術を音楽へと応用することができるようになったことを意味する。ここではむしろロボットと人間が一緒に共存する考えに基づいていると言ってもいいだろう。
記事
Il Corpo del Suono
CORRIERE DELLA SERA
IL GAZZETTINO, La Nuiva, CORRIERE DEL VENETO
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La Repubblica
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Venezia Musica
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